風に靡く髪は燃え盛る炎のよう、体を黒い皮膚で覆い、更に白い強化外骨格を纏う。2mを越す身長でそそり立つと形容するのが相応しく、見るものに恐怖と威圧感を与える姿。
だが今は足を組み、木陰でゆったりと浮きながら眠っていた。
時折周囲に電気がぴしぴしと音を立てて走っているのが見えるが、それは索敵用にと放った法術。だが殺傷能力はないといって良い、誰かが近付いてきたことだけ判れば良い・と放ちはしたが、実際彼のひとの聴力ならもっと広い範囲をカバーできる。かつて戦の中に身を置いていた時の癖、呪いの様なものだった。
空は青く晴れ渡り、木々の隙間を縫って吹く風は心地よく、柔らかく髪を揺らす。眠っているその肩にはいつの間にか小鳥が止まり、まるで石の像か何かのように、気にも留めずに歌を歌う。深い森の奥、聞こえるのは葉擦れの音や鳥の声だけという静かなその空間に、一人で深い眠りにつく。
この森を抜けたところに広がる光景は命を感じない。瓦解したビル群が立ち並び人という種の墓標のよう。だがそれも徐々に木々に飲まれて姿を変えていく。
かつていた一つの種が消えた、自らが作り出したギアと呼ばれる生体兵器に滅ぼされたからだ。今地上に君臨するのはそのギア・というわけではない。人を滅ぼし終った時、全てが休眠状態に入り、活動を停止した。地上のバランスは崩れ、模索を繰り返している。
常に変わっていく中で、彼のひとは一人そこにいた。
□後書き ジャスティス美化し過ぎ!!!と思った方。
此処はジャスティスブログです、あーたりーまえー。
ジャスティスが聖戦を起こした目的は判らないけれど、人がいなくなれば活動停止しそうな感じはするんだよね。他のギアにもそれに準じろとはいわないだろうけど・・・ただ生態系に悪影響でそうで怖いな。