「はいジャスティス!」
そういって満面の笑みを浮かべ、ヴィーがジャスティスに向かって突き出したのは、小さな紙片。角に穴が開けられて小さな飾り紐が結ばれている。
「なんだ?」
「バレンタインデーだからジャスティスに!栞!」
手にとってそれを良く見てみれば、手漉きなのか表面が粗く少しごわごわしていて、薄っすらと押し花らしきものが透けて見える。裏側には紅いインクで、ミミズののたくった様なジャスティスという文字。ジャスティスが受け取ったことに、ヴィーはますます顔を綻ばせていた。
「何故私にこれを?貴様バレンタインが判っているのか?」
そういうジャスティスの目は怪訝そうで、ヴィーは小さく首を傾げ、
「好きな人に贈り物をする日だって聞いたよ」
じいちゃんが教えてくれたの!というヴィー。ジャスティスははぁ・と小さく溜め息をついた。
「花だとジャスティスいらないっていうかと思ったから、ジャスティスが使うもんにしたの!」
「これは・・・買ったのか?それとも・・・」
買ったにしてはいびつな形をした紙、厚さもまちまちだ。押し花の色もあまり良くない。恐らくは、
「前からじいちゃんと花摘みっこして、押し花作ってたんだぁ、そいで紙漉きもやってね。ディズィーの誕生日の時はカードにしたんだよ!じいちゃんに“誕生日おめでとう”っていうの書き方教えてもらって。喜んでくれたんだ〜」
「お前は本当にあの男に懐いたものだな」
「じいちゃん知らないこと教えてくれるから好き!俺手作りくらいしか、贈るもん何もないし」
ジャスティスは読みかけていた本を手にとると、すでに挿していた栞を外して、受け取った栞を挟む。使ってもらえることにヴィーは嬉しそうに微笑いながら、
「ジャスティス大好きだよ!」
ヴィーの言葉に、ジャスティスは物好きな・といいたげな目でヴィーを見たが、ヴィーはニコニコと微笑っていた。
□後書き
オリジナルでバレンタインとか痛々しいにも程がある。OTLかといって、ジャスティスが誰かに上げるなんてことないし、どう考えたって西洋圏のギルティ界で日本のような阿呆祭りなバレンタインはしたくなかった・・・。

ヴィーはホワイトデーの存在なんて知らないし、男女で送り合うバレンタインが通常の西洋圏にホワイトデーなんてないと思っているので、ホワイトデーはやるつもりないです。